ハードウェアの開発現況

中村隆生(満開製作所  企画グループ)


  今月もハードウェアの進捗状況をぬるぬるとご紹介していこうと思います。ご

紹介の順序は順不同であります。

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■mach2p(MK-HA2P)  設計:中村

●製品概要

  SCSI-2 +メモリの複合ボードで、SCSI 部は旧 Mach-2 の設計を、メモリ部は

XSIMM10ss の設計を踏襲しつつ、細々とした改良を加えています。

  ただし X68030 ではメモリ部が使用できません。また、PRO/PRO2 では、バス

マスタ転送が行えません。

●進捗状況

  第2次ロットは残念ながら2000年2月中旬に延期になってしまいました。原因

は部品(CPLD)の入荷遅れです。

●予約状況

  予約受付中です。価格は38,000円(税別)です。

◎量産版の基板写真

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■キットシリーズ  設計:中村

●製品概要

  現在、光DAI出力化キット MK-CC003 や ATX 電源接続キット MK-CC011 などを

ラインナップに揃えているキットシリーズですが、新製品の企画が2グループあ

り、製品化に近い方をシリーズ2、そうでない方をシリーズ3とカテゴリ分けし

ています。

●進捗状況

  MK-CC019「PS/2 マウス接続キット」は完成しましたが、生産が追い付いてい

ない状況です。

  また、シリーズ2の基板が一部を除いて上がってきました。試作が始まってい

ます。

●シリーズ2のラインナップ:

型番     品名                           状況                    予価
MK-CC002 光・同軸変換キット             試作基板入荷待ち        未定
MK-CC005 アクセスランプキット           試作中                  未定
MK-CC014 リモコン送受信キット           試作中                  未定
MK-CC015 同期分離回路                   試作中                  未定
MK-CC018 光DAI受信復調キット            試作中                  未定
MK-CC019 PS/2マウス接続キット           量産中、基板入荷待ち    4,800円

●個別の説明

▲MK-CC002 光・同軸変換キット

  デジタルオーディオ機器の中には、デジタル端子が同軸しか装備されていない

ものがあり、デジタルオーディオ信号(32kHz・44.1kHz・48kHz)をやりとりす

る際、光端子と同軸端子の相互変換が必要になることがあります。

  このキットはインタフェース変換のためのもので、光からの入力を同軸で出力・

同軸からの入力を光から出力、の 2 系統の変換を 1 枚の基板で行うものです。

※このキットはシリーズ3に繰り入れとなりました。

▲MK-CC005 アクセスランプキット

  パルス信号系にアクセスランプを付ける時に便利なキットです。あんまり速い

パルスには対応できません。プレステのメモリカードにアクセスランプを付ける

時など、アイデア次第でいろいろと応用できます。

▲MK-CC014 リモコン送受信キット

  X680x0 でリモコン信号を送受信するためのキットです。回路的には Outside

68k で桑野さんが発表されたものを、受信部に改良したものです。ソフトは付い

ていませんので、適当に用意して下さい。X680x0 側はジョイスティック端子に

接続して下さい。

▲MK-CC015 同期分離回路

  ビデオ信号またはコンポジット同期から、垂直同期と水平同期を分離するキッ

トです。同期分離 IC には三洋の LA7213 を使用しています。

▲MK-CC018 光DAI受信復調キット

  MK-CC003 の逆で、光端子からデジタルオーディオ信号を復元します。DSP で

オーディオ信号処理をしたい方などにお勧めです。MK-CC003と組み合わせると、

光デジタルオーディオ信号中継器ができます。

▲MK-CC019 PS/2マウス接続キット

  PS/2 マウスの信号を X680x0 のマウス信号に変換する装置です。ていうか中

身は MK-MJ2 そのままです。予価 4,800 円です。初期ロットにはケースが付き

ます。

●予約状況

  MK-CC019 は販売中です。その他のキットは次号から販売開始になる予定です。

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■倍速スキャンコンバータ(MV-SC1)  設計:山内氏

●製品概要

  15kHz の映像信号を 31kHz の倍速に、また 63kHz の4倍速に変換する装置で

す。NTSC 信号(ビデオや LD の映像信号)や、X680x0 の 15kHz 信号を、市販

のマルチスキャンモニタで見ることができます。

  また、X680x0 用の画像取り込み端子を有していますので、高画質イメージユ

ニットとしての応用も可能です。

●進捗状況

  試作基板に部品を実装中ですが、一部の部品の入荷が遅れているため、完成し

ていません。

●予約状況

  予約受け付け中です。品種は1種類のみ(MV-SC1)の予定です。予価 148,000

円ですが、もしかすると価格が上がるかもしれません。具体的なこと(正式な価

格とオプションの価格)については、予約者には郵便でご連絡します。


◎試作1号の基板写真

◎試作1号を上から見た図

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■PCカードドライブ(MK-PC1)  回路設計:大中氏  基板設計:中村

●製品概要

  X680x0 で PCMCIA 2.1/JEIDA 4.2 規格準拠の PC カードを読み書きするため

のカードドライブです。拡張スロットに挿すタイプの制御基板と、別筐体のカー

ドドライブ部から成ります。

●進捗状況

  アートワークがいったん終わったのですが、使用予定だった部品が生産中止と

なったため、部品の入力をやり直しました。3月ごろから試作に入りますが、添

付ソフト(PC カード用ドライバ)開発も同時に行うため、実際の発売は5月ご

ろになるのではないかと思われます。

●予約状況

  予約受付中です。品種は1種類(MK-PC1)のみです。価格は改めてご案内しま

す。カード部が別筐体になりますが、その価格がまだ出ていないため、価格がど

うなるかまだ分かりません。5万円を超えることはないと思います。

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■拡張スロットユニット  回路設計:桑野氏  基板設計:中村

●製品概要

  Xpander IV 相当の4スロット拡張ユニットです。TSR さんから出なかった、

X68030 版を優先して発売します。また、10/16MHz ツインタワー機用も同時発売

の予定です。

●進捗状況

  設計が完了しました。回路はほぼ共通ながら、コネクタや部品の違いから、次

の4機種に分かれることになりました。

MK-XU1-600 : X68000 元祖(予定)・ACE・EXPERT・SUPER・XVI 用

MK-XU1-500 : X68030 用

MK-XU1-300 : X68030 Compact 用

MK-XU1-674 : Compact XVI 用

  外板を付けると値段が上がるため、すべての機種には外板が付属しません。む

き出しの状態で使うことになります。

  -600 と -500 の試作基板が入荷してきていますが、まだ部品が納入されてい

ません。-300 と -674 に関しては、まだ目処がたっていません。

●予約状況

  全機種(-600 / -500 / -300 / -674)予約受付中です。ご予約の際は、必ず

使用される機種名をご指定下さい。予価は未定ですので、改めてご案内します。

おそらく5万円を超えることはないでしょう。

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■DSPボード  設計:松岡氏

●製品概要

  mp3 のコーデックを X680x0 でも現実的な速度で行おうということで開発中し

ている DSP ボードですが、mp3 だけでなく他の用途にも使えるように、開発キ

ットも添付する計画です。

  DSP としては、モトローラの DSP56362 を採用、これを 100MHz 駆動して 100

MIPS を実現します。DAC・ADC にはバーブラウンの PCM1800E・PCM1716E を使用

し、96kHz オーディオにも対応します(ただし ADC は 48kHz サンプリングま

で)。また光入出力端子を備えます。

●進捗状況

  基板発注済み、納入待ちです。2月中に試作する線で進めていますが、添付ソ

フトの開発に時間を取りますので、発売は4月になります。

●予約状況

  予約受付中です。予価は未定ですので、決定次第、改めてご案内します。5万

円を超えることは絶対にありません。

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■Venus-X       回路設計:井倉氏  基板設計:中村
■Jupiter-X     原設計:森野氏  回路設計:井倉氏  基板設計:中村

●製品概要

  最初はハイメモリの企画でしたが、井倉将実氏設計の Venus 計画と統合する

ことになり、060turbo の設計も引き継いで、060 版と 030 版の2通りを開発す

ることになりました。L2 キャッシュ、SDRAM ハイメモリ、PCI バススロットを

備えます。030 版については、MC68030 を 50MHz 駆動することになります。

  Jupiter-X はγ版のデバッグを一旦凍結し、Venus アーキテクチャに基づいた

再設計を行います。ただし、井倉氏の手元では、γ版が電源投入・電源断できる

ところまで来ていますので、Venus-X の完成から遠くないうちに Jupiuter-X も

完成させることができるのではないかと思われます。

  これらの統合により、Jupiter-X および Venus-X は、

・X68000 ACE/EXPERT/SUPER 用は Jupiter-X(A)(MK-JX1A)
・X68000 XVI 用は Jupiter-X(X) (MK-JX1X)
・X68030 用は Venus-X (MK-VX1)

という形式になります。この形式の後ろに、68060 版であれば -060 が、68030

版であれば -030 が付きます。また、L2 キャッシュはオプションとなり MK-LC1

という形式になります。

  ですから、たとえば XVI の 68060 版に L2 キャッシュ付き Jupiter-X を付

けたい場合は、ご予約は

・MK-JX1X-060
・MK-LC1

という組み合わせになります。

●進捗状況

  次の部分は回路図が完成しています。

・L2 キャッシュ部

・SDRAM ハイメモリ部

・060 バスブリッジ部

  PCI 部についても内部論理が完成しています。今後、SD-RAM部から DMA アク

セスするためのオンボード DMAC を設計した上で、全体を通して Venus-X の回

路設計を早期(2月中)に行う予定です。状況によりJupiter-X の試作にも着手

します。ただし完成時期はまったく未定です。

●予約状況

  価格は未定ですが、Venus-X においては 060turbo と同程度の価格に抑えるこ

とができるのではないかと思われます。また、Jupiter-X については 178,000

円を予価として予約を受け付けます。価格は変更になる可能性が大ですが、予約

者には決定次第、改めて郵便などでご連絡します。

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■3.5 インチ外付けドライブユニット MK-FD3

●製品概要

  外付けの 3.5インチ FD ドライブを製作します。オートイジェクトの仕様は廃

止となりました。

●進捗状況

  仕様を固めている最中です。完成時期、価格ともにまったく未定です。

●予約状況

  まだ予約は受け付けておりません。

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■九九式試製一型  回路設計:桑野氏  基板設計:中村

●製品概要

  弊社では独自のアーキテクチャを持つパーソナルコンピュータと、その上で稼

働する OS を製作する計画を有しており、「零式計画」と呼称し推進中です。

  その試作機として、「九九式試製一型」を製作します。基本は、Qバス・SSバ

ス・PCIバスをサポートするバックプレーンボードと、MPUを搭載したMPUボード

からなります。なお、試製一型は開発者向け配布のために製作するものであり、

予約受付・販売の予定はありません。

●進捗状況

  九九式試製一型の MPU ボードの基板だけが入荷してきました。バックプレー

ンボードの基板はまだです。また、部品はまだ全く納入されていません。

●予約状況

  まだ受け付けられる状況ではありません。

◎九九式試製一型 MPUボードの基板CAD画面

◎九九式試製一型 バックプレーンボードの基板CAD画面

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  ご不明な点は読者葉書にお書きになるか、mailto:nakamura@mankai.co.jpまで

メール下さい。次号の本欄に反映させます。


(EOF)